『いわてのZINE Acil』いわてのジン アシル編集人日記

岩手を中心に食・農・手仕事・場づくりなどについて取材した【いわてのZINE Acil】を発行しています。他においしいもの情報、本や映画の感想など。

映画「山懐に抱かれて」

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先日、フォーラム盛岡で映画「山懐に抱かれて」を
観てきました。


田野畑村で山地酪農を営む
吉塚公雄さん一家を24年に渡り
取材したドキュメンタリー番組を
テレビ岩手開局50周年記念として
ひとつの映画にまとめたものです。


「田野畑山地酪農牛乳」は
サンビルの「もっとちいさな野菜畑」さん
前九年の「Citta」さんで飲んだことがありました。

残念ながら、吉塚さんと面識はありませんが
いろいろな方から山地酪農の一端をお聞きして
テレビで以前放送されたドキュメンタリー番組も
全部ではないですが観てましたので
これはと思い、フォーラム盛岡に3回行って
ようやく観ることができました。

公開当初の挨拶付き上映は、
私の見通しが甘く
上映1時間前に行ったらすでに満席でした。


山地酪農は乳搾りの時以外は牛を山で放牧し、
その糞が牧草の肥やしとなる循環型の方法。
外国産の穀物飼料や化学肥料は使わず、
餌はシバと自家栽培した牧草のみ。

一度サイクルが安定すれば
永続的に牛乳が得られるそうです。

しかし、広大な農地を必要とし
サイクルが安定するまで
労力と時間がかかることから
実践する酪農家は少なく、
吉塚さんと「田野畑山地酪農牛乳」
を支える仲間の他には
高知で一箇所だけだそうです。


一家の大黒柱である吉塚公雄さんは
千葉県の出身で東京農業大学を卒業。
植物生態学者で山地酪農の提唱者である
猶原恭爾博士と出会い、
20歳で山地酪農の実践に
人生をかけることを決意します。

田野畑村の広大な山林を開拓し、
長い年月をかけて
現在の多種多様な草が共存する環境へと
育ててきました。

映画は公雄さんを支える妻の登志子さん
そして5男2女の子どもたちの24年を丹念に追い、
理想の酪農を貫くむずかしさと喜び、
家族の成長に伴う変化を描き出しています。


映画が始まり、まず目に飛び込んできたのは
美味しそうに草をはむ牛の顔。

お父さんに倣い、
自分の体重の何十倍?もある牛を追い込む
可愛らしい男の子たちの姿。

マイナス15度以下にもなる真冬でも
山に立ち続ける寒立馬ならぬ寒立牛。

家族一人ひとりに感謝の言葉を
全員でかけてから頂く晩ごはん。

朝、乳搾り小屋にいるお父さんに
挨拶してから走って小学校に行く子どもたち。


厳しさと優しさが渾然一体となった
吉塚家の日常が綴られていきます。


吉塚家では、小学校に上がったら
乳搾りを覚えるそうです。
大きくなるにつれて、
特に男の子は力仕事が増えていきます。


映画の後半では、可愛らしい子どもたちは
それぞれ立派に成長していきますが、
ちいさな頃を映像だけでも観ているので
勝手に親戚気分になっている自分がいました。


公雄さんが
「親として、どこかに連れて行ってあげたり、
何かを買ってあげたりとか物質的なことは
何もしてやれない。悲しいとか嬉しいとかを
受けとめてあげることしかできない」
と仰っていたのが印象に残っています。

「家族は他人の最小単位」とも仰ってました。


親の役割がどうあるべきか、
人によって様々な考え方があると思いますが
吉塚家のお子さんたちは
酪農一家の一員として成長する中で
働き・学び・遊びを
区別なく身につけていったのでは。

働き手や家事の担い手としては
つらい部分もあると思いますが
安心できる自分の居場所があることは
子どもの人生にとって、
とても大切なことだと感じます。


お父さんが強いメッセージを発して
実践している姿に引っ張られ、
時には反発をして?
それぞれの道を
見つけていったのではないでしょうか。

外から観ただけの感想ですが
様々なことに目を向けさせてくれる作品です。


できれば過去のドキュメンタリー番組を
全部通して観てみたいですが、
たぶん難しいのでしょうね。


映画「山懐に抱かれて」公式サイト

田野畑山地酪農牛乳HP

遠藤隆監督のインタビュー記事

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