『いわてのZINE Acil』いわてのジン アシル編集人日記

岩手を中心に食・農・手仕事・場づくりなどについて取材した【いわてのZINE Acil】を発行しています。他に本や映画の感想など。I report about making a meal, agriculture, handwork, a tradition technique, a place around Iwate and gather it up in a booklet.

唐澤平吉【花森安治の編集室 「暮しの手帖」ですごした日々】感想:精神の冒険が普遍性を生む

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訪問ありがとうございます。
本日も読んだ本の感想です。


【花森安治の編集室 「暮しの手帖」ですごした日々】
唐澤平吉
2016年 文春文庫

※単行本は1997年 晶文社刊


「暮しの手帖」の初代編集長・花森安治さんについて
編集部員を6年務めた唐澤平吉さんが
当時を思い出しながら綴っています。

花森さんの言葉へのこだわり
レイアウトのバランスを考えた
書き文字やイラストなどについても語られ
徹底的に可能性を突き詰める
「アルチザン」「親方」としての面が
「暮しの手帖」をゆるぎない「一本の杭」とした
大きな要因であったと書かれています。

「暮しの手帖」は商業的な成功を収めつつも
広告を一切のせていない雑誌です。

唐澤さんはそれを可能にしたのが
戦後の庶民の生活に柱をつくり
あたらしい知恵や工夫の提案をしたこと、
また商品テストを通して消費者の「疑う目」を育てたこと、
それらを期待する読者が養われたこと
ではないかと語っています。

そして、唐澤さんがうつ病にかかり
苦しみながら退社した後
花森さんの人間としての大きさが
より心に迫ってきたそうです。
妥協を許さないため、厳しい現場ではあったが
けして情がないわけではなかった。
唐澤さんは花森さんを「リクツよりは情の人」と
評しています。

その上で、夢と理想を追求し
「暮しの手帖」を大きな力に流されない「一本の杭」とするべく
編集に関わる人、家族、自分自身にも厳しく生きてきたのだと。


花森さんについて、私は詳しくないのですが
その根底に唐澤さんが「ソレガナンヤ」精神があったと
仰るように、「なんだ坂、こんな坂」というような
負けん気があったのではないかと思います。
その意気地が本人を動かすばかりでなく
まわりの人をも動かし、成長させたのではないでしょうか。

1人の天才の力だけではなく
まわりで支える人々の「生活の中で何を大事にしたいか」も
ぶれなかったことが「暮しの手帖」を
他にはない雑誌にしたのではないかと思います。


唐澤さんによると、花森さんは「先の見通しがきく」方だったそうです。
商品テストをはじめとしたこれまでにない特集は
やはり、そういった視点がないと生まれないものなのでしょう。
「先の見通しがきく」ので、昔の記事やイラストも
古く見えないのかもしれません。

普遍的なもの、何が変わらないものかを知っていた花森さんは
自分自身は変革をおそれない人だったそうです。
常に自分を更新して、よいと思ったものは何でも取り入れる。
そんな精神の冒険が、「今」でありながら普遍的な雑誌を生むのでしょう。


岩手の食、農、手仕事、場づくりについて取材したZINE・Acilをつくっています


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