『いわてのZINE Acil』いわてのジン アシル編集人日記

【心と体、環境の調和】をテーマに、食や農、手仕事、場づくりなどについて取材した雑誌「いわてのZINE Acil」を制作・発行しています。

物々交換していただいた本の感想 vol.3【分かりやすさの罠】

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2016年7月の「青空商店」でお客様と物々交換した
ちくま新書「分かりやすさの罠-アイロニカルな批評宣言」を
やっと読了しました。


「分かりやすさの罠」-アイロニカルな批評宣言
仲正昌樹 著
筑摩書房 2006年5月

オススメ度 ★★★★


仲正昌樹(なかまさ・まさき)氏のプロフィール
1963年生まれ。東京大学総合文化研究科地域文化研究専攻博士(学術博士)。
現在、金沢大学人間社会環境研究科教授。
主な著書に『「不自由」論』(ちくま新書)、
『集中講義! 現代の現代思想』(NHKブックス)など。

目次
序 カンタン系化するニッポンの思想
第1章 「二項対立」とは何か?
第2章 哲学に潜む「二項対立」の罠
第3章 ドイツ・ロマン派の批評理論
第4章 「アイロニー」をめぐるアイロニー


【感想】

これまで「アイロニー」という言葉を、一般的な意味の通りに
「皮肉」「逆説」と受けとっていたのですが
本書では、二項対立にはまらない
(分かりやすさの罠にはまらない)ための
第3者的な目線を指すのだと受け取りました。

その前提に立って、章ごとに「批評と批判の違い」
「これまでの批評のあり方」について
など、普段私が考えることのない(笑)
テーマが展開されていくのですが
表現が分かりやすかったのか
すんなりと読み進めることができました。

対立する意見をもつ2者が、お互いを批判するうちに
意見は違えども同じようなことをしてしまう傾向がある
など、なるほどなと思える指摘もありました。


少し残念だったのは冒頭と最後が
著者と意見の異なる「論壇」の方々への文句と言うか
言い訳のような印象を与えてしまったこと。

たぶん著者としては、「これも批評」なのかも
しれませんが、この始まり方・終わり方だと
筋が通っていないというか
アイロニーの意識をもつことのメリットが
よく分からなくなってしまいます。

確かに、二項対立におさまらずに
外から俯瞰してみることの大切さは分かったのですが
最後の展開では、著者も結局二項対立の一方に
おさまってしまっているようにみえるので
う~ん、という感じでございます。

もともと、メリットがあるかどうかに関係なく
著者とアイロニー的批評の相性が良いから
この立場をとっているということなんでしょうか。

こういった批評についての本は
あまり読む機会がなく、よい頭の体操になった気がします。

この著者の『「不自由」論ー「何でも自己決定」の限界』
『お金に「正しさ」はあるのか』も、いずれ読んでみたいと思います。

交換して頂いたお客様、ありがとうございました。


岩手の食、農、手仕事、場づくりについて取材したZINE・Acilをつくっています



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